PCB廃棄物は”低濃度PCB廃棄物”と”高濃度PCB廃棄物”の2種類に分けることが出来ます。
また、これらの廃棄物は人体に悪影響を及ぼすため適正な方法で廃棄処理をしなければいけま
せん。
この記事では、PCBとはどのような物質なのか、処理する場合の手順などを詳しく解説してい
きます。
Contents
PCBとは?
PCBとはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略で、化学的に合成された有機
塩素化合物の一つです。無色透明な油状の物質で、水に溶けにくい、沸点が高い、熱分解
しにくい、電気絶縁性が高いなど、化学的に安定な性質を持っています。
これらの特性から、変圧器やコンデンサ、ノンカーボン紙など様々な用途で使用されました。
しかし、PCBの毒性が問題視されるようになり、現在は製造・輸入ともに禁止されています。
低濃度PCB廃棄物とは?
低濃度PCB廃棄物は、PCB濃度が5,000㎎/kg以下のPCB廃棄物のことを指します。
また、PCB濃度が5,000㎎/kgを超えるものは高濃度PCB廃棄物といいます。
低濃度PCB廃棄物は大きく以下の3種類に分けることが出来ます。
①低濃度PCB廃油
・“微量PCB汚染絶縁油”
・“低濃度PCB含有廃油”
②低濃度PCB汚染物
・“微量PCB汚染物”
・“低濃度PCB含有汚染物”
・廃プラスチック類のうち、当該肺プラスチック類に付着・封入されているPCBの量が
廃プラスチック類1kgにつき100,000㎎以下のもの
・金属くず、陶磁器くずまたは工作物の新築、改築もしくは除去に伴って生じたコンクリート
の破片など
③“低濃度PCB処理物”
・“微量PCB処理物”
・“低濃度PCB含有処理物”
PCB廃棄物の危険性
PCBは脂肪に溶けやすいという性質を持つことから、人体に入り徐々に蓄積されていくと、
様々な症状を引き起こします。
具体的には、吹き出物や爪の変形、色素沈着や目やに、食欲不振など様々です。
また、PCBは分解されにくいため、大気中や海の中を食物連鎖とともに移動し、極地へも到達
してしまいます。その為、地球規模での汚染を引き起こすとして指摘されています。
低濃度PCB廃棄物の処分期限
PCB特別措置法により2027年(令和9年)3月31日までに低濃度PCB廃棄物を自ら処分するか、
処分を他人に委託することが決められています。
上記期間内の処分に違反した場合は罰則・罰金が課される場合があります。
また、PCBの処理は低濃度PCBの場合は民間の処理業者へ、高濃度PCBの場合は国の特殊会
社、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)へ委託することになります。
調査から処分までの流れ
①まずは使用している変圧器等のPCB含有の有無を調べる必要があります。技術者等へ依頼し
調査を行います。
②設備台帳や、採取した絶縁油のPCB濃度から判別を行います。
③必要な届出を提出した後、無害処理事業者へ処分を委託します。
必要な届出について
●使用中の電気機器の場合
使用中の電気機器が低濃度PCB含有電気工作物に該当することが判明した後、遅滞なく届け出
(ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物設置等届出書)を提出しなければなりません。
また、設置者の氏名や住所、事業場の名称、所在地などが変更になった場合にも届出が必要で
す。
●保管中・廃棄物の場合
使用を終えて廃止した低濃度PCB含有電気工作物は、廃棄物処理法の保管基準に準じて適正に
保管し、年度末までに発生したもの・処分したものの状況を翌年度の6月末までに届出として
提出することが必要です。また、絶縁油の漏洩事故が起きた場合にも届出が必要となります。
届出の様式等詳細は、経済産業省の「PCB含有電気工作物」のページをご覧ください。
まとめ
現在生産されている家電製品にPCBが使用されていることはありませんが、家電製品へのPCB
の使用が禁止される昭和47年以前の家電にはPCBが使用されている可能性があります。
また、高圧変圧器や高圧コンデンサーの絶縁油として今現在でもPCBを使用しており、
予期せぬ災害や事故などでこれらが破損した場合、PCBによる被害が発生する可能性があります。
健康被害を防ぐためにも適切な方法でPCBの処理を行うことが重要です。